ニトロのるつぼ

「低いハードルをぺたぺたと」「継続は力なり」

「文章上手だねぇ」と言ってくれた相手は多分覚えていないけど、言われたニトロは一生忘れない話

time 2017/01/26

「文章上手だねぇ」と言ってくれた相手は多分覚えていないけど、言われたニトロは一生忘れない話

その昔、mixi日記に本を読んだ感想をアップしたら、友達の一人がこんなコメントを書いてくれました。

面白そう。時間ができたら読んでみようかな。
それにしても、文章上手だねえ。

好き勝手に書き散らした文章を、誰かが読んで反応してくれるだけでも有難いのに、まさかの褒め言葉まで貰えて、自分でもビックリするほど嬉しかったのを覚えています。コメントを書いた当の本人は、ニトロがそこまで喜ぶなんて考えずにサラっと書いただけでしょう。
社会人になって、たとえば仕事の成果を賞賛されたとしても、それは対価をもらってやっているのですから、想定の範囲内の出来事です(偉そうに言いつつ、仕事で褒められた経験は皆無に等しい)。
しかし、まさに「褒めても何も出ないわよ」を地で行く、ただのポエムを披露する場と化していた日記に対して「文章上手だね」なんて言ってもらえるとは、ニトロの考えの範疇では起こり得ない事件でした。いちいち大げさな・・と思われるでしょうが、当時のニトロの偽らざる気持ちです。
何より嬉しかったのが、コメントしてくれた相手が、同年代ながら尊敬できる素敵な人で、だから余計に嬉しくて、浮かれてしまいました。

件の本は、現在映画公開中の『聖の青春』の作者、大崎善生さんの『将棋の子』でした。
「上手だねと言われたからには、さぞや・・」と事前の期待値を上げる真似をしておいて恐縮ですが、ただ普通の感想を綴っただけの日記です。
将棋の子を読んだことがあれば「なるほど」と思いながら、読んでいなければ「読んでみようかな」ときっかけになれば嬉しい限りですが、ほんと、淡々と読んでください^^;
読みやすさを考慮して少しだけ改変しましたが、ほぼ原文のままです。

少し前に買ったままで、読む機会を逃していた文庫本『将棋の子』は、『聖の青春』の著者大崎善生が、同じく将棋界を描いた作品。

ただし、前作が「天才」の物語とすれば、こちらは「挫折」した若者たちの物語です。一見すると。読み進めていくうちに、そればかりではないことが分かりますが、全体に漂う焦燥感、倦怠感、その他やるせなさ・・がものすごいです。

プロ棋士になるには奨励会という養成機関に入ることが必須ですが、○歳までに○段、と年齢制限があり、その年齢までに目標に達していないと、強制的に退会させられる決まりになっています。これがものすごく狭き門。
羽生善治以下、煌めく才能を持った天才少年たちが勝ち星をあげまくるなかで、それ以外の奨励会員達は、巨大な台風に翻弄される小舟のようだった・・との記述がありますが、自分自身にもタイムリミットが迫ってくる、後ろからは猛烈な勢いで勝ちまくる後輩がいる、そんな中、勝つことでしか存在証明ができないのに負けが込んでくる・・。
10~20代前半の青年の精神に、過度の負担がかかることは想像に難くありません。
自分の誕生日に怯える少年たちを見つめる著者の目は、それでも、奨励会での闘いを許されていることに対する憧憬のまなざしを帯びています。

物語の主な登場人物は、奨励会を退会した後、落ちるところまで落ちてしまっており、著者は「そうなるきっかけであった将棋のことはきっと憎んでいるんだろう、悲しい思い出でしかないだろう」と考えています。そんな中、11年ぶりに再会した時に、思わぬ言葉を聞くのです。
「自分は将棋に誇りを持っている、自分が今こんなになっても頑張っていられるのは将棋があったからだ」
夜逃げの際に、何もかも捨て置いてきた主人公が、たったひとつ持って出た品物は「奨励会退会時に受け取った将棋の駒」でした。

著者は問います。
「自分が同じ立場に置かれた時に、これだけは絶対に譲れない、手放すことのできないものはあるのか?主人公の駒のような存在が自分にはあるのか?」と。私も読みながら、一緒に問わざるを得ません。
なんと、今の自分の呑気なことかと。

けっこうボリュームのある本ですが、大崎さんの文章はとても読みやすいので、一日ちょっとで読了。
自分内だけですが、ちょっとした将棋ブームが続いています。
指すわけではなく、関連本を読むことの、ですが。
羽海野チカさんの『3月のライオン』も、プロ棋士の機微や勝負の厳しさなどが丁寧に描かれていて、とても好きなマンガです。
その他、大山康晴、升田幸三、谷川浩司、羽生善治、先崎学、二上達也、米長邦雄等々・・
棋士それぞれの個性が表れている文章を読むのも大好きです。

自分には理解できない天才達の世界なのに、妙に人間くさいところが何とも魅かれる理由なのかなと思います。

今、改めて自分で読み返しても、全く以て普通の文章です。
それをわざわざ転載した理由は、ただの気まぐれにしても褒めてくれる人がいた、事実はこれだけですが、ニトロにとっては大事な出来事だったので、借り物の場所ではなく、自分のブログにきちんと残しておきたかったからです。
言った本人は「そんなの言ったっけ?」と記憶の彼方に忘れ去っているだろうけど、別に得意意識もない文章で、思いがけず人様に上手だねと言ってもらえたこと、ニトロはたぶん一生忘れません(どれだけ褒められない人生を過ごしてきたのでしょうか)。
飽きっぽいニトロでも、ブログ運営はできるのか?問題を考えてみたで、ブログを始めるまでの経緯を書きましたが、友達の一言のおかげで、ほんの少しだけ自信を持って始めることが出来たのです。

結局、社会の中で人と関わり合いながら生活していくのが人間ですから、無条件に人から認めてもらえたら、単純に嬉しいよねって話でした。たとえ、言った相手は忘れていたとしても。
いつかニトロも、誰かにとって、そんな宝物になるような一言を(意識せずに)伝えられる日が来るのでしょうか。うーん、険しい道のりだろうなぁ。
絶対、言ったあとで「今ニトロ良いこと言ったわ」って思うもん^^;

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