2021/11/14
二ヶ月ぶりのCookieです。いや~、二ヶ月って早いですね。
前回のエントリ→いくえみ綾『太陽が見ている(かもしれないから)』5巻+続き 感想2016年9月27日
今号の表紙はいくえみさん。髪を切ってショートカットになった岬が幼いです。個人的には長い髪の岬がお姉さんぽくて好きでした。
前回のお話で飯島弟と別れた岬は、誰とも連絡を取らずに日々を過ごしています。
冒頭から終盤まで相手が明かされないまま、何度も岬の携帯に電話がかかってくる様子が描かれているのですが、毎度のことながらいくえみさんぽくて上手いな~と感心しました。電話の相手は飯島弟か?日帆か?それとも・・?
今回は、いよいよ岬と日帆がお互いの気持ちをぶつけ合うシーンもありました。
大学のフリマ会場で日帆が店番しているところに、岬が来店します(楡は日帆宅でお留守番しているので不在)。フリマに出された楡の私物を見た岬は、懐かしがりながら「楡の抜け殻でいいからちょうだい」「私が飯島と別れたから日帆は不安でしょ」などと茶化します。日帆も負けじと応戦するのですが、どうなったら正解って形が見えなくて苦しいです。これぞ、ザ・三角関係。
岬・楡・日帆は、三人していびつな形を取り繕ってきたけど、いよいよ誤魔化しが効かないところまで来てしまった。そんな緊迫感が伝わってきました。
旅から帰った飯島兄が飯島弟や楡と再会したり、日帆の何気ない言葉(でも、核心を突く言葉)に楡が動揺したり。飯島兄と弟のくだり、飯島弟いい奴過ぎる・・。ほだされて付き合った岬の気持ちが分かります。
でも、最後は自分の気持ちに向き合わざるを得なかった。岬だって、飯島弟を本当に好きになれたら、どれだけ楽だったか。でも、それはあり得ないと心の奥底では分かっていたはずですけど。
着信拒否の相手が楡だったことが、読者に明かされた場面での岬の独白「100回かけてくれたら、電話に出よう」も、何とも切なかった。
自分を心配して電話をかけてくれているのは、誰よりも声が聞きたい相手、大好きな楡からの電話。だけど電話に出て声を聞いてしまったら、気持ちを抑える自信がない。だから、100回かけるほどの長い時間(現実には楡もそこまでしないと岬には分かっているけど)会わなければ忘れられるはず、と。忘れられないのは百も承知なのに。
岬は楡の矛盾も分かっているのです。自ら日帆との関係を断つ気も、進展させる気もないくせに、岬との繋がりも失いたくない。本当に心配なら、岬のことが好きなら・・。何度電話しても出ないというなら、職場も住居も知っているのだから、会おうとすればどうやってでも会えるのに、そうはしない。
もうねー。楡の心ひとつだと思うのですが。どうしたいのでしょう。先行きが全く読めません。飯島兄が日帆とのラインのやり取りを楡に教えたエピソードが、次号以降の伏線になるのでしょうか。
いくえみさんの漫画は、読んでいて心が消耗します。表面上大きな事件が起こるわけではないけど、地下では確実にマグマが溜まっていて、どんな形で爆発するのかドキドキしてしまう。
もっと上手く状況や心理を読み取って説明したいのですが、特にいくえみさんの漫画は独特の雰囲気があるので、文字で伝えるには限界があります。上に書いた内容も、ニトロなりの解釈でしかありませんしね^^;
とりあえず次号を待つとします。次号が2017年て・・!