2021/11/14
Cookie5月特大号で、いくえみ綾『太陽が見ている(かもしれないから)』の最新話を読みました。いつの間にか新刊も発売されてましたね。最近主流の、コミックの続きが最新号で読める形です。
それでは、恒例のネタバレありレビューしていきます。
前回は、高校時代の日帆にスポットを当てた回想話でした。
いくえみ綾『太陽が見ている(かもしれないから)』Cookie3月特大号感想
最新話で時間軸は現在に戻ったものの、前回同様大幅にページ数が減っていて、なんと20ページしかありませんでした。少ないので、あっという間に読み終わってしまいました。連載を何本も抱える超売れっ子作家さんですから、めちゃくちゃ忙しいのは承知の上ですが、隔月発行だからこそ、やはり一話あたりのボリュームを求めてしまいます。ページ数が少ないと、とにかく話が進みまないので^^;
そんな事情で、あっという間に終わりそうな5月号のレビューです。
前々回、楡の服をフリマで販売していた日帆に、冗談めかして「抜け殻でもいいからください」と言った岬。
いくえみ綾『太陽が見ている(かもしれないから)』Cookie1月特大号感想
フリマから帰ってきた日帆は、岬との出来事をそのまま楡に話します。
岬に「飯島弟と別れた自分が、また楡に戻るかもって心配してる?」と言われた日帆。本気で岬を心配していた日帆は、腹立たしいながらも一番痛い点を突かれてしまいました。
「岬にシンクロするなよ」と声をかける楡に、日帆は「自分にはフラットハウスに一切触れさせてくれない!」と訴えます。その言葉に対して、楡は「自分は、日帆にとって何だ?」と逆に問いかけました。キョトンとした顔で、さも当然のごとく「楡は私のすべてだ」と答える日帆に、一呼吸置いてから「嘘だ」とだけ答える楡。
楡の頭の中には、日帆と飯島兄とのLINEでのやり取りが浮かんでいます。
誰にも言えないお母さんへの思いや、楡と岬とのいびつな関係など、日帆は一人語りのつもりだったとしても、無条件に受け止めてくれる飯島兄の存在が、多少なりとも心地良かったのは事実でしょう。
日帆はフラットハウスに出入りさせてくれないと言うけど、その実、日帆だって自分を本心から信頼していないじゃないか?と言うわけです。
二人の会話はそこで終わり、場面はフラットハウスに移ります。
フラットハウスの写真を撮る楡の様子が描かれて、次の場面でようやく岬が働くカフェが登場しました。いくら電話をかけても繋がらない岬の元へ、やっと楡本人が訪ねてきたのです。
いつもの調子で「電話に出ろよ」と言う楡に対して「ごめん」と答える岬。
楡は「まぁ・・わかるけど」と意味深な言葉を発します。分かるって何が?私の気持ちが?それなら、どうして会いに来れる?と思う岬に対して、楡は「ごめんな」の一言を残して、カフェをあとにしました。
岬のモノローグで「今まで聞いたなかで、いちばん悲しい声だった」とかぶせてきて、続く・・。
もう、正直何が何やらです。
日帆と楡の関係も盤石ではないし、岬の気持ちに楡が応じる気配もない。
楡が一人でフラットハウスに行ったのは、おそらく売り物件用の写真を撮るためではないかと想像しています。揉め事の元にしかならないフラットハウスは、もう手放してしまえ!ってところでしょうか。
楡の「ごめんな」の意味も、どうにでも取れるから逆に分かりにくいです。
岬の気持ちに応えられなくてごめんって意味もあるのでしょうけど、フラットハウスの写真撮影場面に思いを馳せてみると、二人の大事な場所を手放すことへの贖罪の気持ちから発した言葉だったのかもしれません。
岬と日帆が楡を好きなのは痛いほど伝わってくるのに、楡自身の気持ちが見えないので、余計モヤモヤします。単純に、楡と岬がくっついて終わりってのもなさそうだし、かといって楡と日帆の関係が続くとも思えないし。
最新6巻には、『潔く柔く』の番外編も収録されていましたね。
たしか映画公開に合わせての番外編で、掲載が決まった時から凄く楽しみにしていたのですが、本編の次世代にあたる地味なキャラの話だったので、リアルタイムで読んだ時は、正直「うーん」って感じでした。もっと、主要キャラのその後・・的な話が読みたかったなぁと。
ただ、今回改めて読むと「なるほど、よくできているな」と感心する部分もあって面白かったです。