ニトロのるつぼ

「低いハードルをぺたぺたと」「継続は力なり」

いくえみ綾『太陽が見ている(かもしれないから)』Cookie9月特大号感想

time 2017/07/26

いくえみ綾『太陽が見ている(かもしれないから)』Cookie9月特大号感想

二ヶ月ぶりのCookieです。7月号でも話がけっこう動きましたが、今月号ではやっと楡の本音らしきものが明らかになりました。長かったよ・・。
いくえみ綾『太陽が見ている(かもしれないから)』Cookie7月特大号感想
楡の部屋から出てきた日帆と鉢合わせした岬。少しだけ言葉を交わしてから別れたタイミングで、岬の携帯に楡から電話がかかってきました。岬は楡の家の前にいるとは言わず、咄嗟に「駅にいる」と嘘をつくのですが、ベランダから階下を見下ろす楡からは岬が見えています。でも、楡は嘘に付き合うのです。もー、じれったい!夜だよ!岬に会いに行ってやれよー!ともどかしいばかり。

場面変わって、飯島弟は猫ボランティアの後輩と野良猫の保護活動をしています(付き合い良いなぁ、飯島弟)。その場所は、楡と岬が住んでいたシェアハウスの周辺でした。そこで偶然、シェアハウスの鍵を壊して屋内に侵入する日帆の姿を見かけます。後輩は「不法侵入」と騒ぎますが、事情を知っている飯島弟はその場をやり過ごしました。

一方、楡から「日帆と別れた」報告を受けた飯島兄は、楡のバイト先まで訪ねてきます。飯島兄が楡に真意を問い詰めると、やっと・・本当にようやく、楡が本心を打ち明けました。日帆とは、お互い傷がある者同士なら上手くいくかと思ったけど、傷が二倍になるだけだったと。じゃあ岬の存在は何なのか?と畳み掛ける飯島兄に対する、楡の表情と言葉が切なすぎました。楡にとって、岬は「まぶしくて目が眩む」存在だと言うのです。
楡の言葉を物陰で聞いていた岬は、涙が止まりません。しかし、この感動的な場面で、楡の携帯に日帆のおばさんから「日帆が帰ってこない」と電話がかかってきました。日帆は、昼間からずっと楡のシェアハウスにいたのです。昼間の日帆の行動が気にかかって、わざわざ夜にシェアハウスに行く飯島弟(どこまで良いやつなのだ。絶対に幸せになってほしい)。行ってみると、当然ながら日帆はまだいました。そこで二人が話していると、楡たちも遅れてやってきます。
「私は、二人みたいにはなれないから、この家なんてなくなればいい 燃えてしまえばいい」とやけになる日帆に対して、楡は「いいよ、おれがやったことにするから」「日帆 ごめん 俺が悪い ごめん」と何度も繰り返し謝ります。二人の様子を見ている岬は泣いています。最後の日帆の一言「に れ」「さよなら」で、二人の別れは決定的となりました。

ニトロ的には、ここまでの展開が長すぎた気がしないでもないですが、積み重ねた年月が長ければ長いほど、別れの重みがあるわけですから、ある程度は仕方ないですかね。日帆にとっては辛い別れですが、肝心の楡の気持ちが自分にないのがハッキリした今、これ以上は縋れないよなぁ。
楡は日帆と、岬は飯島弟と遠回りをしたけど、最後は楡と岬がハッピーエンドで終わってほしいです。もしも、万が一にも、二人がくっつかずに終わったとしたら、ボイコットですよ。いくえみさんに限って、それはないと思いますが。次回が最終回ではなかったけど、次の次くらいには終わるのかな~?

しかし、やっと楡の本当の気持ちが聞けたよ。この言葉のために、ここまで読んできたようなものです。楡にとっての岬の存在のかけがえのなさを、はっきりとした言葉で表現してくれたのが嬉しかった。
他の方のレビューをみると『楡は陰、岬は陽で、楡は家庭環境による劣等感があって、岬は自分に相応しくないと思っていた』とあって、言われてみたら「そうだったのか」と合点はいくのですが、ニトロは全くそっち方面に頭が働いていませんでした。確かに、楡にとって岬は、一人ぼっちの中学生活にいきなり差し込んだ太陽のごとく光り輝く存在だったのかもしれません。でも、岬が大金持ちのお嬢様で・・ってことならまだしも、男性の出入りが激しいシングルマザー家庭で育ち、なんとなく拗ねた部分を持った普通の女子なわけで、正直言って、今回の楡の発言には「え、そうだったの?」って驚きもありました。嬉しさ8割、意外性2割って感じで。ニトロがにぶいだけですよね、きっと・・^^;
楡が岬を大事に思っているのは色々な描写から伝わってきても、奥底の気持ちまでは思い至りませんでした。でも、ニトロにとって、岬は太陽ってイメージじゃないのですよね。そりゃ、日帆や楡と比べれば明るいといえば明るいし、特に飯島弟と付き合っていた頃なんて健全に幸せそうでしたから、言われてみれば・・って感じはありますが。

登場時は、ただの脇役かと思っていた飯島兄弟の働きっぷりは素晴らしいの一言。主要登場人物三人だけだと、ひたすらダークサイドに落ちそうになりますが、飯島兄弟によって普通の日常、普通の感覚にリセットされています。包容力がある・・のかな、この兄弟には。だからこそ、一時的とは言え岬は飯島弟を選んだのだろうし、日帆は飯島兄に本音を吐き出せたのでしょう。飯島弟と日帆が話す場面も良かったし、何と言っても飯島兄は楡の本音を引き出したうえに、それを岬にまで聞かせるのですから。飯島兄弟がいなかったら、ここまでこじれなかったかもしれませんが、三人があるべき姿に至るには欠かせないピースなのでしょう。ある意味、物語の一番の山場、クライマックスは今回の楡の言葉だったかもしれませんが、最後まで見届けたいと思います。楡の本音が分かった状態で、改めてコミックを読み返すのも楽しそうですね^^

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