ニトロのるつぼ

「低いハードルをぺたぺたと」「継続は力なり」

syrup16g 『Kranke』独り言レビュー

time 2015/05/20

syrup16g 『Kranke』独り言レビュー

先日、先行MVが届いたsyrup16gの新譜ですが、ニトロは発売日前日にフラゲして絶賛リピート中です。
今作は、5曲入りのシングルですが、1曲はインスト。
MV曲の冷たい掌はもとより、他の曲も「syrup16g以外の何物でもない」良作揃いです。

いつも思うのですが、五十嵐さんの、syrup16gの曲は、それぞれの楽器の鳴り方が際立っています。
syrup16gというと、五十嵐さんの描く歌詞世界と相まって暗いイメージがあるかもしれませんが、ニトロにとってはその点はあまりメインではありません。
とにかく、syrup16gは音が独特で中毒性があるのです。
今作もそうですが、ギター自体の説得力がハンパない。
ニトロは、楽器演奏はできませんし、すごく狭い範囲の音楽しか聞いていないので
専門的なことも全く分からない素人です。
けれど、syrup16gの楽曲で鳴っているギターや、ドラム、ベースなどは、それ自体が雄弁に語りかけてくる情報量が多いというのが、紛れもない実感なのです。
そして、単純に聞いていて気持ちいい音。
たぶんsyrup16gに出会うまでは、それぞれの楽器の音まで意識して聞き分けていませんでした。

syrup16gのHELL-SEEを初めて聴いた時に
「なんだこの綺麗なギターは!!」と感動した時から、今もずっと、音それ自体に感動するのはsyrupだけです。
ギター一本で、ものすごく綺麗なメロディーを奏でることができるのは、五十嵐さんの特筆すべき才能です。

アコギでの「明日を落としても」「センチメンタル」が分かりやすい例ですが、ニトロが何度もリピートしてしまうのは、2013年5月の五十嵐隆単独名義でのライブ『生還』での一幕です。
アンコールも終わり、本当の最後の曲、翌日。
曲の前に、この日唯一と言える五十嵐さんのMC。
翌日のプロトタイプの曲を、歌詞だけ変えたので・・聴いてください、と前置きして演奏されたギターのイントロ、五十嵐さんの声、歌詞。エレキギターのストロークが鳴っているだけなのに、それだけでsyrup16gだと分かるのです。
ただの一小節でさえ、五十嵐さんの才能が迸りすぎて眩しいくらいでした。
記憶力がほとほと悪いニトロですが、あの時の感動は忘れずにいたいなあ・・と願っています。

話をKrankeに戻すと、前作Hurtより、もっともっと3人の音ががっちりと絡み合って聞こえました。曲を創る過程で、様々な意見交換をしたのだろうな~と思わせる曲。
その過程は、作り手である五十嵐さんにとって、もちろん辛く苦しい作業だろうけど、でも、結局自分にはこれしかないんだなと再確認して昇華できている。

人生別に楽しくないし
自分のことは、絶望的なまでに好きじゃないけど
何とか、今いる場所で踏ん張っている。
五十嵐さんの心象風景と、曲のリンク具合がほぼ重なっているように思えて、聴いてるこちらも「ここまで歌っていいの?大丈夫?」と心配にならないでもないですが、それがsyrup16g、そこがsyrup16gとも言えるし。

さて、前置きが長くなりましたが。
Kranke独り言レビューしていきます。

冷たい掌
これぞsyrupと言える曲。
転調の違和感にあれ?と思っているうちに、黄金の美メロさびへ突入、ギターの音色に聞きほれているうちに怒濤のアウトロコーラスと
一曲の中に、どれだけの要素が盛り込まれているのか・・!
一聴した時はピンとこなかったのですが、聞けば聞くほど好きになって、MVと共に何度リピートしたか分かりません。
再始動後のsyrup16gを代表する名曲の予感です。ドラマや映画の主題歌でもいけそうだし、万人に訴えかける要素を持っている曲だと思います。

vampire’s store
ライブ映えしそうな曲。
歌詞はアイロニーたっぷりで、五十嵐節全開です。
病名はないが患者。
こんなこと、普通書けません。五十嵐さんの言語センスってどうなんでしょう。即神成仏って。
それでも、誰かの答えはいらないよ。
ほんとにそうです。深く頷かざるを得ません。
war martの輸出経路はwest side
生き血すするvampire’s store
パープルムカデにもありましたが、戦争、人同士の諍いに対する怒りのような、諦念のような。

songline
1分半ほどの短いインスト曲。
五十嵐さんの声に、違和感がありました、笑。音はかっこいい。

Thank you
題名からしてダサい!!
サビもすっきりしなくて気持ち悪い。※褒め言葉です。冷たい掌同様、Bメロ?というのか、五十嵐さんの歌のバックに合いの手が入るところが好き。歌詞はすごく五十嵐さんぽくて、独白のような世界です。
五十嵐さんは、歌詞のみならずインタビューでも、よく「青春」て言葉を使います。
バンドなんて、若い頃の衝動でやるもの、青臭いもの。でも、結局自分はそこから逃れられない、という思いが、五十嵐さんに「青春」と言わせているのかな。40代になっても青春できるなんて最高じゃん!と思いますけどね。

To be honor
ダイキちゃんが、この曲好きってTwitterで呟いてましたね。コード感がsyrupそのもの。syrup好きで、この曲嫌いって言う人はそうそういない気がしますが、どうでしょうか。
歌詞が秀逸です。
「主導権は どこ行った 不健全」
と歌ってきて、最後に
「主導権は 君じゃなきゃ 不健全だろう」
って・・・!!
こういう小技(?)にやられます。進んでいくうちに、そうくるのかーと感動させられる歌詞です。
最後の
「いっそ悲しみごと抱き締めようか
いっそ憎しみごと抱き締めようか」
の部分では、思わず泣きそうになります。
憎しみって、なかなか消えない。そんな感情を抱えている自分が嫌いだけど、決別できない。憎しみごと抱き締めるって・・難しい。
でも五十嵐さんがそう歌うなら、やってみようかな、と思える気がするのです。

五十嵐さんのギターとボーカル、マキリンのベース、ダイキちゃんのドラム。
二人がいてこその五十嵐さんであり、syrup16gだと、改めて認識させられる新譜でした。
syrup16g好きはもちろんですが、むしろ知らない人にも聞いてほしい一枚です。

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