2021/11/14
『星の瞳のシルエット』は、ニトロがりぼんっ子になったキッカケの作品です。
Kindle Unlimitedで見つけてビックリ。速攻ダウンロードして再読しました。
※こちらは楽天のkobo電子書籍版です。
柊あおいさんにとって、出世作であり代表作でもある『星の瞳のシルエット』。
ニトロが初めて買ってもらった『りぼん』の巻頭カラーに掲載されていて、母が「可愛い絵だね」と言ったのを覚えています。これ以降、星の瞳読みたさに毎月りぼんを買ってもらうようになりました。
絵に描いたようなりぼんっ子で、発売日当日に本屋に駆け込んでりぼんを買っては、三姉妹で誰が最初に読むかをじゃんけんで決めていました。隅々まで夢中で読んで、読み終わったら一ヶ月後の発売日までが待ち遠しくて、指折り数えて待っていたものです。
最近の漫画雑誌は付録がすごく豪華でオシャレですが、ニトロの現役りぼんっ子時代はまだまだ紙製の付録が一般的で、レターセットや手帳の付録が嬉しかったなぁ。年に一回はトランプの付録があったけど、さすがに今はないでしょうね。
ニトロが小~中学生の頃は、いわゆる全プレ(=全員プレゼント)企画花盛りで、現在の付録レベルの物品(文房具セットやバッグなど)と未使用切手を交換する形式で、好きなキャラクターのグッズを頼んでいました。今考えると牧歌的な時代風景ですが、一連のやり取りが楽しくて好きでした。
さて、数十年ぶりに読んだ『星の瞳のシルエット』の感想です。
小学生当時は、やはり主人公である香澄ちゃんに感情移入しているので「両想いなんだから久住くんと早くくっつけばいいのに!」と、すれ違う様子をやきもきしながら読んでいました。
もちろん、二人の恋路を邪魔する役どころの真理子は大嫌い。
しかし現在読み返してみると、当時は当たり前のごとく香澄派だったニトロも、香澄の八方美人な性格が物事を複雑にして、久住くんと真理子を余計に傷つけたのでは?と思ってしまいました。
久住くんは天文部合宿の時に正面切って香澄に告白していますし、真理子だってダメ元で久住くんに告白しています。二人とも自分の気持ちを伝える勇気を出したのに、香澄は両方にいい顔しようとして、挙句の果てには真理子に「自分は久住くんに振られたから」と嘘までついて告白を勧めるあたり、偽善者っぽくて鼻持ちならない。
しかも「心の中で想うだけだから許してね」と自己弁護して、久住くんと同じ高校を受験。高校では同じ部活に入って、挙句の果てには同じクラスにまで。そりゃ真理子もキレますよね・・。
中学生時代にも、真理子に「自分も久住くんが好きなんだ」と伝えるチャンスはあったのに、そのたびに嘘を重ねて誤魔化すから、ますます糸がこんがらがってしまいました。
漫画ですから、その辺の紆余曲折がないとドラマにならないのは承知の上ですが^^;
今となっては、真理子だって自分の気持ちに正直なだけの可愛い女の子じゃないの・・と肩を持ちたくなるあたり、ニトロも歳を取った証拠でしょうか。
終始報われない立場の真理子でしたが、最後は優しくてお金持ちの日野くんと付き合うことになり、皆がハッピーエンドで終わったのは救いでした。
司がいつの間にか香澄のことを好きになるくだりは、リアルタイムで読んでてドキドキしたな。
今なら「男は結局香澄タイプが好きなのよね!」なんて悪態ついちゃいそう。モテ男でいいかげんキャラの司が、最終的には男勝りな幼馴染の沙樹とくっつくのは、ザ・少女漫画な展開ですよね。
何度も読んだ作品ながら忘れている部分も多かったので、新鮮な気持ちで読み返しました。
今読んでも、主要キャラ5人の人間模様の機微が丁寧に描かれていて、上質な少女漫画であることに変わりはありませんでした。ドラマとして成立している漫画は、昔の作品だろうと文句なく面白いです。逆に、今こんな漫画ってあるのかなぁ?
あの頃のりぼんは、才能溢れる漫画家が良い作品を生み出そうと切磋琢磨していて、読者にとって本当に幸福な時代だったのだなぁ・・と改めて実感しました。