ニトロのるつぼ

「低いハードルをぺたぺたと」「継続は力なり」

瀧波ユカリ『臨死!!江古田ちゃん』8巻完結を、今になって知りました

time 2017/01/25

瀧波ユカリ『臨死!!江古田ちゃん』8巻完結を、今になって知りました

瀧波ユカリさん作の『臨死!!江古田ちゃん』。世に猛禽女子という言葉を生み出した?傑作4コマ漫画です。
新刊が出たら欠かさず購入していたのですが、7巻以降本屋で見かけることがなかったので「連載休止してるのかしら」なんて呑気に考えていました。しかし、たまたまTwitterの瀧波さんアカウントを見ていたら「臨死!!江古田ちゃん全8巻」の文字を発見。
え!!いつの間に8巻出てたの?!てか、やはり終わってたのか!!かなり衝撃を受けましたが、その事実に何ら不思議はなく、ただただニトロの浅はかさが浮き彫りになるばかりでした。
さっそく近隣の本屋さんを巡ってみるものの、8巻発売は既に2年以上も前。2014年10月の話です。数件廻っても見つからなかったので、ネット注文しようかと諦めかけていたら、最後に寄った一番近所の本屋さんで見つけました。

瀧波ユカリさんの観察眼、視点、表現の鮮やかさは、巻数を増すごとにレベルアップしています(それは絵についても同様ですが)。題材が似ている漫画は数あれど『臨死!!江古田ちゃん』ほど、俯瞰した目線で描かれている作品はないのでは。

男女関係の綾、社会のひずみや歪み、真っ当さなどを、江古田ちゃんを通して表現してきた本作。
どんな最終回になるのだろう?とドキドキしながら読み進めていくと、最後の最後で、江古田ちゃんはマーくんとの別れを決意しました。
マーくん、ずっと付き合ってた遠恋彼女と別れても江古田ちゃんを選ばず、彼女にしたい子が他にいるとまでのたまう無神経さ。それでも惚れた側の弱さでしがみついていたわけですが、最後は自分の負けを素直に認めてさよならするところにグッときましたよ。

コンビニバイトにお釣りをちょろまかされそうになってダメージを受ける話も秀逸でした。同じ経験はありませんが、これされたら凹みます。こちらの意図はお構いなしに下らない遊びに付き合わされた屈辱感と「いい歳してそれが楽しいのか?!」と問いただしたくなる気持ちがゴチャ混ぜになって、うわーんとなる感じ。でも誰かにわざわざ話すほどではないから、一人でぐっとやり過ごす。

他には、めんどくさい人とのやり取りを通して本質をズバっと突くイラン料理店のモッさんと江古田ちゃんの関係。ただの店主と客としか見てなかったけど、江古田ちゃんが「モッさん好きだわ」「モッさんも絶対私が好きだわ」ってところで、あ、そーゆーのもあるのかと嬉しくなりました。でも「お互いそこわかってるから何も始まらないしそれでいいし」で、成功も失敗もないと江古田ちゃんは言っているので、付き合うとか、関係が発展するまではなさそうですが。
モッさんは、他人を分かった気になってカテゴライズしたり、決めつけたり、偏見や思い込みで発言したりしません。特別な何かがあるなんて思っていないフシがあって、あるがままを受け入れています。登場人物の中で一番カッコいいのではないでしょうか。

今巻で初登場した、あざといゆるふわ男子も流石の描写力でした。江古田ちゃんには、しょっちゅう飲み会の描写が出てきますが、会話や雰囲気にすごくリアリティがあるので、きっと瀧波さんの大学時代が様々な形で反映されてるのだろうなぁと想像します。
江古田ちゃんのおねえちゃんも良かったなあ。破天荒ながらも本質を分かっている感じが味わい深くて、結局おねえちゃんには叶わないなと思わせるキャラクターでした。

終わってるのか終わってないのか、続きがあるのかないのか気になっていた江古田ちゃんに、きちんとエンドマークがついていたのを知って、やっとスッキリ終わらせることができました。
巻末には「10年間114回ぶん ありがとうございました」と書いてあって、そんなに長かったのか!と驚きました。そりゃ、連載当初は同年代と言って差し支えなかった江古田ちゃんが、いつの間にか一回り以上下の年齢になってるはずだ。江古田ちゃん、24歳ですよ。今から何だってできるよ!

瀧波ユカリさんは、2017年1月現在CREAWEBのコミックエッセイルームにて、エッセイマンガ『ありがとうって言えたなら』を連載中です。江古田ちゃんに登場するお母さんそっくりの、瀧波さん自身のお母さんとのお話です。同じく江古田ちゃんのおねえちゃんのモデル?瀧波さんの実のお姉さんも登場していますが、看護師として仕事をしながら子育て、に加えてお母さんのお世話と、すごく親孝行で頼れる存在です。
お母さんのキャラもかなり強烈で、瀧波ユカリさんが親子関係に苦慮する様子が丁寧に描かれています。まだ連載は続いていますが、完結して書籍化されたら買ってしまうかも。今のところ、名作の予感しかありません。深くて優しくて痛くて、でも瀧波さんならではのユーモアが随所に散りばめられた良い作品です。

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