2021/11/14
かっぴーこと伊藤大輔さんが、彗星のごとくweb上に登場してから一年足らず。
ゆるい絵柄と軽快なテンポを武器に、あるあるネタに鋭く突っ込むスタイルで瞬く間に共感の嵐を巻き起こしました。
近年、ネットで話題になった漫画の書籍化は一つの流れですが、かっぴーさんも例に漏れず、かなりハイスピードな展開で本を発売されました。同時二冊刊行だけでも凄いのに『SNSポリス』は糸井重里氏が、『おしゃ子』は堀江貴文、江川達也両氏が推薦帯文を書いている無双ぶりです。
ニトロがかっぴーさんを知ったキッカケは、フェイスブックポリスでした。
SNSあるあるを絶妙に言語化して、的確なツッコみで笑いとばす。抜群にセンスが良くて、素直に「面白い!」と感心したのが第一印象でした。何といっても、言葉の選び方と組み合わせの妙が特筆ものです。
ソーシャルシンデレラ、ソーシャル出待ち、勝手にお兄ちゃん的存在などなど・・言えそうで言えない、かっぴーさん独自の言語感覚が随所に光ります。
また、かっぴーさんは自身のことを「絵が下手」と仰られていますが、ニトロには上手い人があえて崩したラフな絵に見えます。本当に下手な人の絵ではないというか、線や造形に迷いがなくて、フェイスブックポリスの時から「この人、絵うまいな」と思っていたので、のちに美大出身と知った時には妙に納得しました。
フェイスブックポリスを皮切りに、オリジナルから企業とのコラボに至るまで意欲的に作品を発表し続け、今では雑誌に連載まで持つ売れっ子漫画家に。
現在noteにて連載中の『左ききのエレン』も、実感のこもったドラマティックな物語で、笑いだけでなくシリアスな人間模様まで描き切る表現の幅広さには脱帽です。
近隣の本屋さんで探したものの見つからず、結局楽天ブックスで注文しました。
ニトロは収録されているほぼ全ての作品をネットで読んでいたので、流石に新鮮味はありませんでしたが、面白いことに変わりはありません。
どちらかと言えば『SNSポリス』の方が、漫画とコラムのバランスなど全体的によく練られていて、全く読んだことがない人にとっては、一冊通してすごく楽しめるはずです。もち子が可愛い^^
デザインも洗練されていて、普通フェイスブックポリスなら青系の配色にしそうなものですが、あえてのピンクがポイントになっています。
手描き文字と写植の混ぜ合わせは、読みやすさを優先したのかもしれませんが、何となくちぐはぐな印象で、特に『おしゃ子』では違和感がありました。
かっぴーさんの手描き文字は読みやすいので、どうせなら手描き文字で統一しても良かったのでは。その点については、かっぴーさんがツイッターでもアンケートを取っていましたし(写植or手描きのどちらがいいか?と)十分に吟味して選択した結果なのでしょうけど、せめて、もっとかっこいいフォントはなかったものかと^^;何だか、画面の中で文字が浮いている印象なのです。
ネットでは、おしゃ子のタイトルバックに蛍光カラーで色付けされていて画面にメリハリを生んでいたのですが(左ききのエレンにも見られるかっぴーさんの特徴かな)書籍ではその効果もなく、ひたすらモノクロ画面のみで、勿体ない気がしました。
・・などと、完成品を見てあーだこーだ言うのは誰にでもできますが、何もないところから良いデザインを生み出すのは並大抵ではありませんよね。
かっぴーさんの漫画は面白いだけに留まらず勉強にもなりますし、SNSポリスなんて、ニトロの父母世代にも十分読み応えがあるでしょう。あとは、これからネットを触る子どもたち世代にも読んでもらいたい。これからの社会で「ネットは危険だから」と遠ざけようとしても土台無理な話なので、メリットとデメリットをきちんと説明して教育する必要は絶対ありますよね。少し緩いですが、良い教科書になり得る気がします。
ニトロも、また読み返そうっと。