2021/11/14
いくえみさんの『太陽が見ている(かもしれないから)』が、今月号で最終回を迎えました。
いくえみ綾『太陽が見ている(かもしれないから)』Cookie5月特大号感想
最終話は、ひたすら楡と岬の幸せを見守る感じでしたねー。和やかで自然体な二人が素敵。特に、楡の表情には、ずっと抑えてた気持ちをようやく解放できた心地良さが滲んでいました。ただただ岬を愛おしむ様子が描かれていて、ニトロ的には満足できる最終回でした。
前話の流れからして、このままフェードアウトかと思っていた飯島兄ですが、大学を休学した日帆は、飯島兄に会うために沖縄へと旅立ちました。これまでは一方的に飯島兄から構われていた日帆が、自らの意志で飯島兄に会いに行く流れが良かったです。
飯島弟は、まだまだ素直に楡と岬を祝福する気持ちにはなれないみたいですが、楡が言ってたように、人に対しても動物に対しても優しい飯島には、絶対に素敵なパートナーを見つけて欲しい!兄ですら日帆と進展の予感を匂わせてるのに、最後まで扱いが雑な飯島弟が不憫でした^^;番外編、あったりするかな?!
楡が、岬に「一緒に暮らしたいな」と言って、よーーやく!フラットハウスに二人が戻ってきました。
あちこち傷んだ家を自分たちの手で少しずつ直していくのは、これまでの二人の関係性とシンクロしてますよね。
楡と日帆が付き合ってた時、日帆が「この家に住みたい」と話しても、絶対に立ち入らせなかった楡。優しく岬にキスをして、中学生に戻った気分だと言って、ただ抱擁しあう楡と岬。このシーンの楡の表情が全てを表していて、悶絶しました。そっと目を閉じて、口元には微かな笑みを浮かべて、自分を無防備にさらけだして安心しきってる顔。大好きで大切で眩しすぎるから、わざと遠ざけていた岬を抱き締めながら、まどろむような柔らかい雰囲気の楡(T_T)
最後のシーンでは、左手薬指に指輪をしている岬と手を繋ぎながら、肩を寄せ合ってて。。もー、ここまでの、もどかしすぎるすれ違いの日々は何だったのか!!と思わずツッコミたくなる甘々っぷりです。でも、ただのイチャイチャ恋情過多な嫌みさを感じさせないのが、いくえみさんの巧さなんですよね。お互いがあるべき場所にピタッと収まったのだと、心から納得できました。
とにかく、二人が柔らかくハグしあう姿が拝めただけで、ヤキモキしながらも最終回まで読んだかいがありましたよ。
中学生で出会ってから、お互いにとって代わりの人はいないってほど、唯一無二の存在だった楡と岬。日帆の登場で遠回りさせられた感は否めませんが、それも含めての物語ですからね。岬のモノローグで『日帆は一生の友人』と断言してるので、今後も岬と日帆の友情は続いていくのでしょう。
フラットハウスの修繕は、日帆抜きで「二人でしたい」と言う岬に「おれも」って返事する楡が愛しいし、そのあとのキスも本当に良かったなぁー。
でも、高校時代に岬が楡にキスして「楡とそーいうことしたい」と告白したタイミングで、楡も自分の気持ちに素直になって岬を受け入れてたら、ここまで周りを巻き込んですったもんだする必要なかったのに・・とも思っちゃうニトロ。それを言っちゃお終いかもですが、男子高校生が好きな相手に求められて、あそこまできっぱり拒絶できるものなのか?とも考えてしまうのでした。両想いで、環境は整っていて(なにせ高校生で同居生活)あとは楡の気持ち一つなのに、なぜそこまで頑なになる必要があったのか。
元々、悪徳高利貸しの息子として自分の存在に負い目を感じている楡が、中学時代の逆ナンで初体験を済ませたことで、余計に自分が「汚く」思えていて、だからこそ、岬は恋愛対象「なんか」にせずに、距離を取って大事にしたかったのかなー。
くらもちふさこさんの『花に染む』にも共通してますが、ヒーローの行動や気持ちが最終段階まで分かりにくいパターンは、謎解きみたいで消耗しますね。
くらもちふさこ『花に染む』8巻感想
だからこそ、本心が明かされた瞬間に、全てが報われた気がして盛り上がるのだけど・・作家さんの掌の上で転がされまくりです。
迷走期間が長かったので、どんな終わりになるのか心配してましたが、これ以上ないハッピーエンドで良かったです。また、コミックでまとめて読むのも楽しみだな^^